
現代では、各社からさまざまな生成AIが提供されており、多くのユーザーに使われている生成AIツールの一つに「Microsoft Copilot」(以下、Copilot)があげられます。
Copilotの利用を検討する方の中には、無料で利用できるのか、どのように活用できるのかなどが気になる方もいるでしょう。
そこで、この記事ではCopilotの概要やChatGPTとの違い、 無料版Copilotの使い方と活用例などをご紹介します。
※本記事は、2024年12月時点の情報をもとに作成しています。
Microsoft Copilotとは

Copilot(コパイロット)とは、Microsoft社が提供する生成AIツールのことです。以前は、検索エンジンである「Bing」に生成AIが組み込まれて実現した「Bing Chat」と「Bing Chat Enterprise」が提供されていましたが、2023年11月15日に開催された「Microsoft Ignite 2023」でこれらを統合して名称を「Copilot」に変更することが発表されました。
Copilotは日本語で「副操縦士」を意味しており、利用者の作業をサポートする役割を担っています。
Copilotについてより詳しく知りたい場合は、「Microsoft Copilotの使い方を有料版・無料版で詳しく紹介」の記事をご参照ください。
生成AIツールで有名なものには「ChatGPT」があげられますが、Copilotとどのような違いがあるのかわからない方もいるでしょう。
そこで、次にCopilotとChatGPTの違いをご紹介します。
CopilotとChatGPTの違い
CopilotとChatGPTには、得意分野と言語モデルに違いがあります。ここでは、これらの違いについて詳しくご紹介します。
得意分野
CopilotとChatGPTは、それぞれで得意とする分野が異なります。
Copilotでは、Microsoft 365 Copilotを利用するとOffice製品でCopilotが使えるようになり、Microsoft WordやExcelなどのOfficeソフトで行う作業をCopilotに自動で行ってもらえます。
一方で、ChatGPTは創造的な作業のサポートを得意としており、文章・デザインのアイデア出しや物語の作成、マーケティング戦略の提案などが可能です。
このことから、ChatGPTでプレゼン資料のアイデアを提案してもらい、それに基づいてCopilotにPowerPointで資料を自動作成してもらうといった使い分けもできるでしょう。
言語モデル
CopilotとChatGPTには言語モデルにも違いがあり、それぞれで利用できるモデルは以下となっています。
項目 | Microsoft Copilot | ChatGPT |
---|---|---|
言語モデル | GPT-4 GPT-4 Turbo |
GPT-4 GPT-4o GPT-4o mini OpenAI o1 OpenAI o1-mini OpenAI o1 pro mode |
無料版の言語モデル | GPT-4 GPT-4 Turbo(ピーク時除く) |
GPT-4o mini GPT-4o |
※2024年12月時点の情報
ChatGPTでは、高性能な言語モデルである「GPT-4」を使う場合は有料版にする必要がありますが、Copilotでは無料版でもGPT-4が使えるようになっています。
CopilotとChatGPTの違いについてより詳しく知りたい場合は、「Microsoft CopilotとChatGPTの違いを詳しく紹介」の記事をご参照ください。
Copilotの利用を検討する際に、無料で利用できるのか気になる方もいるでしょう。次に、Copilotは無料で使えるのかについてご紹介します。
Copilotは無料で使える?
Copilotには、「Microsoft Copilot」「Microsoft Copilot Pro」「Microsoft 365 Copilot」の3つのプランが提供されており、Microsoft Copilotであれば無料で利用できます。
Copilotの料金プランをまとめた表は以下のとおりです。(※2024年12月時点)
項目 | Microsoft Copilot | Microsoft Copilot Pro | Microsoft 365 Copilot ※年間契約のみ |
---|---|---|---|
対象 | 個人向け | 個人向け | 法人向け |
料金(1ユーザーあたり) | 無料 | 月額3,200円 | 月額相当4,497円 (1年分を一括払いする場合) 月額4,722円 (月ごとに支払いする場合) |
Officeツールとの連携 | 不可 | Word Excel PowerPoint Outlook OneNote |
Word Excel PowerPoint Outlook OneNote Forms Teams SharePoint など |
無料版のCopilotは、質問に対する回答や文章・画像生成、要約といった生成AIの基本的な機能を使えます。GPT-4の言語モデルを搭載しており、質問に対しWebの情報を収集して回答を生成するため、個人向けでありながら業務上の疑問解決やWebページの要約などにも活用可能です。
ただし、Microsoft Edge(以下、Edge)のサイドバーに標準で搭載されていますが、設定によっては利用できない状態になっていることがあり、この場合は設定が必要になります。
上記の表からわかるとおり、無料版のCopilotはWordやExcelなどのOfficeツールとは連携ができませんが、有料プランでは連携ができるだけでなく、画像を素早く生成できる回数が増えたり、ユーザー数が最も多くなる時間帯でも迅速に回答できたりするといったメリットが得られます。
Copilotの有料プランについて詳しく知りたい場合は、「Microsoft Copilotの使い方を有料版・無料版で詳しく紹介」の記事をご参照ください。
また、Copilotでできることについて詳しく知りたい場合は、「Copilotで何ができる?Microsoft 365との活用方法を紹介」の記事をご参照ください。
ここまでで、CopilotとChatGPTの違いや無料で使えるのかについてお伝えしました。
次では、EdgeのサイドバーでCopilotを利用できないという方に向けて、CopilotをEdgeのサイドバーに表示する設定方法をご紹介します。
無料版CopilotをEdgeのサイドバーに表示する設定方法
無料版のCopilotを利用する際は、通常では下図のとおりEdgeの画面右上に表示されているアイコンをクリックすることで利用できます。

しかし、このアイコンが表示されていない場合は、設定から機能を有効にする必要があります。
機能を有効にする手順は以下のとおりです。
- Edgeの画面右上にある「…」をクリックし、「設定」を選択する
-
画面左のメニューバーから「サイドバー」を選択し、「アプリと通知の設定」にある「Copilot」をクリックする
-
「Copilot の表示」を有効にする
これにより、Edgeの画面右上にCopilotのアイコンが表示され、サイドバーから利用できるようになります。
また、「Copilot によるページ コンテンツの使用を許可する」を有効にすることで、Edgeで閲覧しているページ内容の要約や内容に関する質問などができるようになるため、有効にするのがおすすめです。

次に、無料版Copilotの使い方をご紹介します。
無料版Copilotの使い方
無料版のCopilotは、Edgeのサイドバーだけでなく、Edgeやそのほかの主要なブラウザからCopilotのWebサイトにアクセスして利用することも可能です。
ここでは、Edgeのサイドバーから使う場合とCopilotのWebサイトから使う場合に分けてご紹介します。
Edgeのサイドバーから使う場合
CopilotをEdgeのサイドバーから利用する方法は以下のとおりです。
- Edgeを開き、先述したように画面右上にあるCopilotのアイコンをクリックする
- サイドバーのテキストボックスに質問や指示を入力し、キーボードの「Enter」またはテキストボックスの「▷」をクリックする
これにより、EdgeのサイドバーからCopilotに無料で質問や指示を送れます。
CopilotのWebサイトから利用する方法
CopilotのWebサイトにアクセスすることで、EdgeだけでなくGoogle ChromeやSafariなどの主要なブラウザからも利用できます。
CopilotのWebサイトから利用する場合は、利用方法は以下のとおりです。
- EdgeやGoogle Chrome、Safariなどのブラウザから「CopilotのWebサイト」にアクセスする
-
以下の画面が表示されたら、画面中央の下部にある「開始する」をクリックする
引用:Copilot
-
以下の画面が表示されたら、画面中央の下部にある「あなたの名」と表記されているテキストボックスに、Copilotが呼ぶ際の名前を入力する
引用:Copilot
-
上記の手順を終えるとCopilotに質問ができるようになるため、画面中央の下部にある「Copilot へメッセージを送る」のテキストボックスに質問や指示を入力し、キーボードの「Enter」またはテキストボックスの右側に表示される「↑」をクリックすると入力内容をCopilotに送信できる
引用:Copilot
ここまでで、無料版Copilotの使い方をお伝えしました。Copilotは無料版でもさまざまな活用方法があるため、次ではそれらの活用例をご紹介します。
無料版Copilotの活用例
無料版のCopilotでは、画像に関する質問・指示やプログラムコードの作成、画像生成などさまざまな方法で活用できます。ここでは、これらの活用例について詳しくご紹介します。
画像に関する質問や指示
WebサイトのCopilotでは、無料版でも画像を認識できるため、画像に関する質問や指示を行えます。
以下の画像では、表のスクリーンショットを添付し、項目の追加を指示しています。

引用:Copilot
すると、画像を正確に認識して指示どおりに項目が追加されました。
画像認識の機能を活用することで、上記のように画像の表を指示どおりに編集し、コピーできるかたちで出力してもらえます。また、質問文を入力するのが大変な場合に画像を添付して、「画像にある○○の部分について教えてください」といったように質問の手間を省くことも可能です。
さらに、画像をテキスト化するなど、幅広く画像認識機能を活用できるでしょう。
ページの要約
Edgeのサイドバーで使えるCopilotでは、先述した「Copilot によるページ コンテンツの使用を許可する」の設定を有効にしていれば閲覧しているページの要約が可能になります。
以下の画像では、EdgeでMicrosoft公式サイトにあるCopilotについて書かれたページを表示し、「現在閲覧しているページを要約してください。」と指示を出しています。
すると、ページに書かれている内容の要点が箇条書きでまとめられ、回答に提示されました。
このように活用することで、長文で読むのに時間がかかるページも簡単かつ短時間で内容の要点を把握できます。英文のページも日本語に直して要約できるため、海外の情報も収集しやすくなるでしょう。
プログラムコードの作成
EdgeサイドバーとWebサイトの両方のCopilotでは、指示に従ってプログラムコードを作成できます。
以下の画像では、「JavaScriptでユーザーの入力を取得し、それをアラートボックスで表示するコードを書いてください」というコード作成の指示を出しています。

引用:Copilot
すると、指示に従ってアラートボックスを表示するコードが提示されました。
プログラムコードの作成などを指示することで、エンジニアやプログラマーではない方でもWebサイトを改修できるようになり、実現できる機能やデザインの幅が広がります。
また、Google スプレッドシートのApps Scriptなどのコード作成も可能なため、日々の作業を自動化したい場合はCopilotに要望を伝えてみるとよいでしょう。
上記の例では、コード作成について細かい条件などは指定していませんが、実際にコード作成を依頼する場合はコードや挙動の現状をしっかりと伝え、Copilotが現状に最適なコードを作成できるように指示を出すことが大切です。
ExcelやGoogle スプレッドシートの関数の提示
Copilotでは、ExcelやGoogle スプレッドシートの関数を教えてもらうことも可能です。
例えば、以下のようにA列にURLが入力されているとき、これらのURLのドメイン部分だけをB列(赤枠の部分)に表示させるための関数をCopilotに聞きます。

質問文は以下のとおりです。
スプレッドシートのA2から下に複数のURLが入力されています。このURLの「https://」を除いてドメインだけにしたものをB列に表示させる関数を教えてください。
すると、回答でドメインだけを表示する関数が提示されました。

引用:Copilot
これをB2からB11まで入力すると、以下のように意図したかたちでドメインのみを表示できます。

従来は、ExcelやGoogle スプレッドシートの関数を覚えたり、調べたりする必要がありましたが、Copilotなどの生成AIが誕生してからは、指示を出すことでそのとおりに関数を教えてもらえるため、自分で覚えたり、調べたりする必要がなくなり、高度な関数も扱うことが可能となっています。
画像生成
Copilotでは、画像生成も依頼できます。
画像は指示に基づいて生成され、油絵や水彩画、モノトーン、アニメ風などの画風を指定できます。また、絵画技法を指定してアートを生成することも可能です。ここでは、以下のようにCopilotに画像生成の指示を出します。
以下の要件に基づいて画像を生成してください。
- 静かな湖のほとりに立つ桜の木
- 満開の桜の花びらが水面に映り込む
- 水彩画のスタイルで、柔らかなブラシストロークとパステルカラーを使用する
すると、この指示に基づいて画像が生成されました。

引用:Copilot
生成された画像に修正を加えたい場合は、「桜の木の割合を増やしてください」のように追加で指示を出すことで修正できます。理想に近い画像を生成してもらうには、何度もやりとりしたり、要件を変えたりと工夫をしてみることが大切です。
デザインのアイデア出しにも利用できるため、ぜひ活用してみてください。
必要な情報の収集
Copilotはインターネット上にある情報を参照できるため、必要な情報を探してもらうことも可能です。
以下の画像では、「Microsoft公式が発表している、Copilotに関する情報のリンクを教えてください」という指示を出しています。

引用:Copilot
すると、指示に基づいてMicrosoft Copilot公式サイトページのリンクが提示されました。
この指示を活用することで、通常の検索エンジンでは見つけにくい情報や、調べものをする際にも大いに役立つでしょう。
物語の作成
Copilotでは、指示に基づいた物語の作成も可能です。
指示の際は、「○○についての物語を作成してください」のように大まかな指示でも作成してもらえますが、ジャンルや展開などを細かく指示することで、より理想的な物語を作成できます。
ここでは、例として以下の要件で物語の作成を依頼します。
現代の都市を舞台にしたミステリー物語を作成してください。主人公は女性探偵で、彼女が解決する事件は大富豪の謎の失踪です。ストーリーの最初の章では、探偵が依頼を受けるシーンと、最初の手がかりを見つけるまでの展開を描写してください。事件の背景や登場人物の関係にも触れてください。
すると、これらの要件に基づいた物語が作成されました。

引用:Copilot
これにより、物語の骨組みやアイデアを出す時間を大幅に削減でき、予想外のストーリー展開やキャラクター設定といった着想も得られるでしょう。
歌詞のアイデア出し
Copilotでは指示に基づいて作詞も可能なため、アイデアが思いつかない場合などに活用できます。
ここでは、例として以下の要件で作詞を依頼します。
明るくて元気が出るポップソングの歌詞を作成してください。テーマは「挑戦することの大切さ」と「困難を乗り越える力」で、サビに「Don't stop believin'」というフレーズを含めてください。リスナーを励ますようなポジティブなメッセージを伝える歌詞にしてください。
すると、この要件に基づいた歌詞が作成されます。

引用:Copilot
指示の文章に曲の構成(Aメロ、Bメロなど)や詳細なイメージを含めることで、より具体的に歌詞を作成してもらえます。出力内容をそのまま歌詞で使うのが難しい場合でも、アイデア出しや表現の幅を広げる際に役立つため、ぜひ活用してみるとよいでしょう。
ここまでで、無料版Copilotの活用例をご紹介しました。
有料版やMicrosoft 365のツールでCopilotを使ってできることについて詳しく知りたい場合は、「Copilotで何ができる?Microsoft 365との活用方法を紹介」の記事をご参照ください。
Copilotを利用する際は、コツを知っておくことで意図したとおりに使えるようになります。次に、Copilotを使いこなすためのコツをご紹介します。
Copilotを使いこなすためのコツ

Copilotを使いこなすには、質問の仕方を工夫することが大切です。具体的に質問することで、AIが意図を正確に理解しやすくなり、 期待する回答を得られる可能性が高まります。例えば、質問の中で5W1Hを明確に示したり、文章構成や回答の形式を指定したりするなどがあげられます。
また、回答に使える参考情報や質問の背景、どのような立場で回答してほしいかを伝えることで、AIがユーザーの意図をより深く理解できます。
1回の質問で期待する回答を得られない場合は、会話を続けて回答の精度を高めたり、質問を分割して段階的に情報を引き出したりするとよいでしょう。
より具体的なコツを知りたい場合は、「BingAIとは?Bing・Microsoft Edgeとの違いやできることを解説」の記事で「Copilotで期待する回答を得るためのコツ」としてご紹介していますので、ぜひご参照ください。
まとめ
この記事では、Copilotの概要やChatGPTとの違い、 無料版Copilotの使い方と活用例などをご紹介しました。
Copilotとは、Microsoft社が提供する生成AIツールのことで、利用者の作業をサポートする役割を担っています。Copilotでは、「Microsoft Copilot」「Microsoft Copilot Pro」「Microsoft 365 Copilot」の3つのプランが提供されており、それぞれで価格やOfficeツールとの連携性に違いがあります。
無料版のCopilotは、質問に対する回答や文章・画像生成、要約といった生成AIの基本的な機能を使えます。
Copilotは、Edgeのサイドバーに標準で搭載されていますが、アイコンが表示されていない場合は設定から機能を有効にしましょう。Edgeのサイドバーだけでなく、そのほかの主要なブラウザからCopilotのWebサイトにアクセスして利用することも可能です。
必要な情報の収集やプログラムコード・物語の作成などさまざまな用途で役立てられるため、本記事でご紹介したコツを押さえてぜひ活用してみてください。